キラーライス

キラーライス

あなたがごはんつぶをごはんつぶたちとして見ずにお茶碗単位で扱うとき、お茶碗のなかの全てのコメたちは泣いているのだ。いってみれば、全米が泣いているのである。そして昨今の日本人の米離れが、ついに全米を憎しみに変えてしまった! 内なる炎を秘め、いま米達の復讐が始まる。

先日、僕の住んでいる町に不可解な死体が見つかった。高校生である僕はその死体を実際に見る事が出来なかったけれど、そんなに広くない町なのでその死体に関する噂は直ぐに広まり、僕のクラスでもその噂でもちきりだった。

噂によると、死体の口には大量の白米が詰まっていたそうで、さらには司法解剖して体を切り開いてみると、胃や腸といった消化器官全てに白米が詰まっていたらしい。それが直接の死因になったかどうかは分からないが、とにかく自殺者が白米を大量に飲んで死ぬとも考えられないので、この町には米を大量に詰め込む猟奇殺人鬼が潜んでいるか、もしくは米が勝手に体内に入り込む怪奇現象としてクラスのみんなは恐れている。

どちらかを恐れているように言っているけれど、実際、米が勝手に体内に入り込むワケがない。つまりクラスのみんなは猟奇殺人鬼がこの町に居る事を恐れているのだ。

なんでだ! なんで僕たちはファミレスの店内で、こんな馬鹿げた目に遭っているんだ!

そのような僕の動揺と混乱は外にいる大量の白米には関係なく、ファミレスの窓ガラスにへばりついて蠢いている。ガラスと米が擦れあう音が店内に響き、敵を威嚇するケモノの鳴き声の様に聞こえる。白米は毛虫の様に動き、そして時折店内にいる僕たちを伺うような仕草をする。米に視線なんて有るわけがないのに、僕はその蠢く無数の米の中に潜む視線をハッキリと感じた。怨念が籠もったような暗く粘ついたような視線。

しばらく米はガラスにへばりついていたが、無数の米は地面の一カ所に集まり始める。ちょうど水が低いところに集まるように、しかし重力に逆らうように山を作っていく。山は次第に人の高さまで到達し、その両脇から枝のように2つの枝が生えていく。枝は上下左右にねじくれ、無数の米が先へと繋がって伸びていく。ある程度まで伸びきった2つの枝の先がまた膨らみ、更に5つの細い枝を作る。

それは人間の形だった。人間の形をした白い怪物は今度はその作られたばかり両腕を振り上げて、窓ガラスに叩き付ける。その不気味な姿を見てカナコは叫び声を上げる。金髪の男は「なんなんだよ、クソ。あいつはなんなんだ!」と叫ぶ。ウエイトレスのバイトは未だに失神したままで、中年のおっさんはイスを持ったまま目の前の状況に怯えている。

何度か窓ガラスに両腕を叩き付けていたがそれではダメだと思ったのか、真っ白な人間は体当たりで窓ガラスにぶつかってくる。鈍い音を立てて窓ガラスが振動する。壊れるのは時間の問題だろう。

貴方は米の本当の恐ろしさを知らない。日本の米離れに警鐘を鳴らすホラームービーついに登場。「アタック・オブ・ザ・キラートマト」を上回る興奮と脱力と無意味さ。そしてこんな事を考えた俺をなじってやりたい気分に覆われながらも制作は快調。今、江戸以来のコメ騒動で日本が震撼する。

『アタック・オブ・ザ・キラーライス』! 公開未定!

親米か反米、貴方はどっちだ!

ネコプロトコルRMX

ごはんの擬人化に意義を唱えたいのである(ネコプロトコル)より